作家・田中小実昌(大正14〈1925〉年~平成12〈2000〉年)は、昭和61(1986)年から逝去するまで練馬区早宮で暮らしました。毛糸の帽子がトレードマークの田中は「コミさん」や「コミちゃん」の愛称で親しまれ、執筆活動のほか、テレビや映画出演など幅広く活躍しました。
田中の作品は小説、随筆、翻訳、紀行、映画評論など多岐にわたります。執筆活動は主に翻訳から始まり、カーター・ブラウンの推理小説などの、軽妙洒脱な訳文が注目されました。次第に小説も発表するようになり、昭和54(1979)年に、戦中や終戦直後のできごとを題材とした「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で第81回直木賞を受賞、同年に父親のことなどを書いた短編集『ポロポロ』で第15回谷崎潤一郎賞を受賞しました。
独立教会の牧師を父にもつ田中は、旧制福岡高等学校在学中に初年兵となり出征、復員後は軽演劇場の文芸部員、米軍将校クラブのバーテンダー、香具師などのさまざまな職を転々とし、それらの経験からも作品を書きました。整然たる物語となってしまわないよう、言葉が慎重に用いられ、独特の文体が生み出されました。飄々とした田中の表現には多くの読者が惹き込まれました。
本展では、当館に一括して寄贈された原稿や書簡、書籍、写真資料などを中心に、田中の作品を紹介します。
会 期:令和5(2023)年6月17日(土)~8月13日(日)
会 場:石神井公園ふるさと文化館2階 企画展示室
開館時間:9:00~18:00
休館日:月曜日 ※7/17(月・祝)は開館、7/18(火)は休館
観覧料:無料
【会期中のイベント】
■トークショー「コミさんのメモをのぞいてみたら」 日 時:令和5(2023)年7月1日(土)14:00~15:00
講 師:田中開(田中小実昌令孫)、南陀楼綾繁(ライター・編集者)
定 員:90名(抽選)
参加費:無料
会 場:石神井公園ふるさと文化館1階 多目的会議室
申込締切:6月15日(木)必着
-申込受付は終了しました-<抽選結果について>
締切後、応募者多数の場合は抽選となります。
抽選結果は【申込フォーム】の方はメールで、【往復はがき】の方は返信はがきでお知らせします。
■展示解説会 日 時:令和5(2023)年7月13日(木)、8月5日(土) 14時~(30分程度)
定 員:50名(当日先着順)
参加費:無料
会 場:石神井公園ふるさと文化館2階 企画展示室(直接会場にお集まりください)