練馬区立美術館では「身体(からだ)で感じる緑とアート展」を開催いたします。本展はまちと美術館を現代アートでつなぎ、その双方を会場とする当館初の試みとなります。
白井晴幸、中村萌、廣瀬智央、山口啓介+カセットプラントファクトリー、渡辺泰幸+渡辺さよからなる5組の参加作家は、生命力豊かな植物や人の営みに関連する作品などを発表します。視覚的インパクトに富む写真や彫刻をはじめ、聴覚や嗅覚、触覚へと働きかけるインスタレーションや観客参加型作品など、多様な作品がまちなかと美術館に展開します。
<みどころ1> まちとつながる展覧会練馬区立美術館は中村橋の住宅街に位置し、地域に親しまれてきた美術館です。1985年の開館以来、200本近い展覧会を開催してきた当館は、この度初めて美術館を出て展示空間をまちへと拡げます。舞台となるのは近隣の商店街の店舗や緑地などのスペースです。中村萌による一本の丸太から彫り出された森の妖精のような生き物の彫刻たちは、商店街の店舗ウィンドウや店先に出現します。またスリット露光の技術を活かした独自のカメラで、見慣れた風景や人波を不思議なかたちに置き換える写真を手がける白井晴幸は、中村橋を撮り下ろした写真を看板やパネルに出力し、美術の森緑地や高架下に展示します。
<みどころ2>「五感」で楽しめる現代アート作品を紹介本展では視覚はもちろん聴覚、嗅覚、触覚、味覚を通して知覚する作品を紹介します。
展示室では、廣瀬智央がレモンとミントの爽やかな香りを体感できるインスタレーションを披露し、鑑賞者の身体性を取り込んだ展示を行います。美術の森緑地では、渡辺泰幸+渡辺さよによる、触ることで陶の音色を楽しむ作品「音具」の最新作を発表します。山口啓介+カセットプラントファクトリーは、花木を閉じ込めたカセットケースで美術館ロビーのガラス壁全面を覆い、花々が散りばめられたような彩り豊かな空間を演出します。
また会期中には、練馬区立美術館・練馬区立貫井図書館・美術の森緑地にて
「アートマルシェ」を開催いたします(2025年9月13日(土)、14日(日))。アートマルシェでは、商店街店舗による出店や、絵本の読み聞かせ、ワークショップやパフォーマンスなどを行います。
上記5組の作品により創出される、いつもとは違う練馬区立美術館、美術の森緑地、そして商店街の景色は、現代アートをより身近に感じてもらう機会となるでしょう。今年で開館40周年を迎え、リニューアルを控えた節目の時期にある当館の新たな試みである「まち」とつながる現代アートの展覧会に、ぜひ足をお運びください。
作家紹介(五十音順)白井 晴幸(しらい はるゆき)写真家。東京生まれ。特異な技法やシチュエーションを創造するなど、独自のアプローチによって写真が持つ記憶の文脈を考察し、解体・再構築することで見ることの可能性を探究している。主な展示に、2019年「VOCA展2019」上野の森美術館(東京)、2017年「LUMIX MEETS BEYOND2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #5」(東京/アムステルダム/パリ)、「第16回 写真1_wall展」ガーディアンガーデン(東京)など。
中村 萌(なかむら もえ)美術家。1988年東京生まれ。2012年に女子美術大学大学院美術研究科を修了。楠を素材に油絵具で彩色した木彫作品を中心に制作しており、楠との対話を通じて、その中に潜む形を彫り出すという独自のスタイルから作品が生み出される。また、彫刻と絵画を横断的に取り組み、楠の板を使った平面作品やキャンバス作品にも精力的に取り組んでいる。国内外で個展、グループ展への多数参加。
廣瀬 智央(ひろせ さとし)美術家。東京生まれ。ミラノを拠点に活動。インスタレーション、彫刻、写真、絵画、ドローイング、パフォ-マンス、プロジェクトなどの多様なメディウムを使い、視覚以外の感覚領域や身体へアプローチなど、鑑賞者の想像力を掻き立てる作品を創出する。境界を越えて異質な文化や事物を結びつける脱領域的な想像力が創造の原理となっており、日常生活の体験と関わりを軸に、世界の知覚を刷新する表現を創りだす。世界各地で展覧会多数。
山口 啓介(やまぐち けいすけ)+カセットプラントファクトリー美術家。1962年生まれ。1990年頃、方舟のイメージをもつ大型の銅版画作品でデビュー。絵画、彫刻、インスタレーションなど、国内外の展覧会にて発表。1997年ドイツで発案した『カセットプラント』は、大規模なインスタレーションへと展開する。2013年瀬戸内国際芸術祭で男木島に《歩く方舟》を設置。近年では 2015年いわき市立美術館、2015-2016 年豊田市美術館、2019年広島市現代美術館で個展を開催。人を包み込むようなスケールの絵画の可能性を追求し、自らの手で制作できる限界に挑戦している。
渡辺 泰幸(わたなべ やすゆき)+渡辺 さよ音響彫刻家。岐阜県多治見市在住。陶を素材とした「音」の出る音具を制作し、インスタレーションやパフォーマンスなどを行う。その「場」でかかわる人や事によって生まれる「音」、その音とともに作品は完成される。2024「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟県十日町市)[2003,2006,2009,2012,2015参加]。2024 「清流の国 文化探訪『南飛騨Art Discovery』」(岐阜県下呂市)、2021 ユニバーサル・ミュージアム ―― さわる!“触”の大博覧会(国立民族学博物館)。
開催概要会期 :2025年9月10日(水)~9月28日(日)
会場 :練馬区立美術館2階(ロビー・展示室)、美術の森緑地、サンツ中村橋商店街
休館日:9月16日(火)、9月22日(月)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)※美術館以外の会場は施設の時間に準ずる。
観覧料:無料
主催 :練馬区立美術館(公益財団法人練馬区文化振興協会)
助成 :公益財団法人乃村文化財団
協力 :エミオ中村橋、小山登美夫ギャラリー
アクセス 西武池袋線中村橋駅下車 徒歩3分
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