銅版画家、渡辺千尋(わたなべ・ちひろ/1944-2009)は、東京に生まれ、長崎に育った。1963年、桑沢デザイン研究所に入学。しばらくはグラフィックデザインや挿絵、装丁の仕事に携わったが、1978年に銅版画と出会い、ビュランによる制作を始める。1979年には「第47回日本版画協会展」に初出品、「日本版画協会奨励賞」を受賞した。以降、銅版画家として活躍、プラハ国立版画美術館に「《象の風景》シリーズ」が買い上げとなった。
銅版画家としての活動の一方で、『ざくろの空―頓珍漢人形伝』(1994年、第1回蓮如賞受賞)などを著し、文筆家としても活躍する。また、1996年には長崎県の高来郡有家町(現・南島原市)の依頼によって、16世紀末頃の銅版画とされる《セビリアの聖母》の復刻に着手。その道程を、『殉教の刻印』(2001年、第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)としてまとめた。2009年に没するまで、多方面にわたる精力的な制作活動を続けた。
本展では、この復刻の《セビリアの聖母》に焦点をあてながら、渡辺の画業を紹介する。
<開催案内>会 期 2013年11月30日(土曜)~2014年2月9日(日曜)
休館日 月曜日
(但し、12月23日、1月13日[月曜・祝日]は開館、翌日休館)、
年末年始 12月29日[日曜]~1月3日[金曜]
開館時間 午前10時~午後6時 ※入館は午後5時30分まで
協 力 長崎県南島原市
観覧料 無料
<会期中のイベント>ゲスト・トーク
中林忠良氏(東京芸術大学名誉教授・版画家) 日時 12月21日(土曜)午後2時から1時間程度
舞踏 日程 12月25日(水曜)午後2時から1時間程度
出演 吉本大輔(舞踏 天空揺籃)、高橋理通子、石川慶
担当学芸員によるギャラリー・トーク 日時 1月11日、2月1日(土曜)午後2時から30分程度